医療機器産業では、和歌山の拠点をクローズして大阪拠点に吸収する動きが20年程前から活発になり、今では多くのメーカーで普遍化しています。
緊急対応については医療機関、例えば院内の臨床工学技士さんに初期対応してもらうことで診療への影響を最小化することを実装した上での拠点クローズが行われてきました。
メーカーとして営業やメンテナンスの対応が不要な訳ではないので、和歌山へのアクセスは確保しなければなりません。
それでは、大阪のどこに拠点を持つと良いのかといった場合に、天満を拠点にするとどうなのかシミュレーションしてみました。
天満⇒和歌山は乗換ゼロ
JR西日本の紀州路快速を使うと1時間27分、1,280円で和歌山に到着できます。
お急ぎの場合、特急くろしおを使うと乗換は1回必要ですが、乗車時間は1時間程に短縮されます。
アーケードを3分
南扇町ビルからJR天満駅までは、天神橋筋商店街のアーケードの中を3分程です。
ほぼ雨に濡れず、傘を開く事なく電車に乗る事ができると思います。
難波や天王寺は?
JR難波駅からJR和歌山駅まで移動する場合、1度乗換が必要になります。JR天王寺から特急くろしおで43分、紀州路快速で1時間6分です。
南海の難波駅から和歌山市駅までは乗り換えなし、特急料金の掛からない南海特急サザンに乗れば56分、970円です。
和歌山へ行くことを考えると、天満より難波や天王寺の方が優位ですが、家賃を考えると天満は梅田(JR大阪)から1駅移動が必要だから家賃が下がる、同様に天王寺や難波から1駅移動すれば家賃が下がるので、比較対象としては家賃を揃える必要があると思います。
JR天王寺駅からJR奈良駅はJR関西本線大和路快速ならば乗り換えなしで36分、JR難波駅からJR奈良駅は49分です。
近鉄の大阪難波から近鉄奈良までは近鉄阪奈特急で32分、近鉄奈良線快速急行で34分です。
医療機関は北側
今回は大阪の拠点に和歌山の拠点を合併するという場合のシミュレーションなので、そもそも大阪の顧客へのアクセスが良く無ければなりません。
大阪を、JR大阪駅・私鉄梅田駅を基準のザックリと南北に分けると、医療機関は圧倒的に北側に多いと思います。
保険医療機関で見ると、大阪市医療圏は3,446軒あるので、まずは大阪市内に拠点を構えることに意味はありそうです。
その大阪市を基準、ざっと本町大通、阪神高速13号東大阪線を基準の南北で切ってみます。
北摂エリアに位置する豊能医療圏と三島医療圏が1,676軒、北河内と中河内医療圏が1,589軒、合わせて3,265軒あります。
南河内医療圏、泉州医療圏、堺市医療圏の合計は1,959軒です。
すなわち北側62.5%、南側37.5%なので北側へのアクセス性が重要と考えて差し支えないと思います。
医療圏 | 軒数 | 構成市町村 | 人口 | 面積 | 密度 |
豊能 | 1,049 | 豊中市 池田市 吹田市 箕面市 豊能町 能勢町 | 1,041,743 | 276 | 3,780 |
三島 | 627 | 高槻市 茨木市 摂津市 島本町 | 747,084 | 213 | 3,500 |
北河内 | 915 | 守口市 枚方市 寝屋川市 大東市 門真市 四條畷市 交野市 | 1,158,727 | 177 | 6,534 |
中河内 | 674 | 八尾市 柏原市 東大阪市 | 839,315 | 129 | 6,515 |
南河内 | 490 | 富田林市 河内長野市 松原市 羽曳野市 藤井寺市 大阪狭山市 太子町 河南町 千早赤阪村 | 609,014 | 290 | 2,100 |
堺市 | 745 | 堺市 | 837,603 | 150 | 5,591 |
泉州 | 724 | 岸和田市 泉大津市 貝塚市 泉佐野市 和泉市 高石市 泉南市 阪南市 忠岡町 熊取町 田尻町 岬町 | 902,293 | 445 | 2,028 |
大阪市 | 3,446 | 大阪市 | 2,702,033 | 225 | 11,998 |
営業効率と人口密度
営業スタッフの生産性、効率を考えた場合にも北側に優位性があります。
例えば南河内医療圏や泉州医療圏の人口密度は2,000人/平方キロ程です。北側との差が大きいです。
クリニックに1軒ずつ営業に回ろうと思ったときに、単位時間あたりに係る移動時間が短くて済む可能性があるのは人口密度の高いエリアです。
天満は北側に強い
天満駅は環状線なので大阪市内に強いです。
その北側にある天神橋筋6丁目駅から谷町線に乗れば大日方面へのアクセスが良いです。
南側にある大阪天満宮駅からは東西線が出ているので東側へのアクセスが良いです。
天神橋筋6丁目駅や扇町駅から乗車できる堺筋線は、南に向かえば南海電車に接続するので堺市や泉州医療圏方面にも行けますが、北側の北摂エリアへのアクセスが良い阪急電車に直結しています。
この複数路線、複数駅に天神橋筋商店街のアーケードを使ってアクセスできることは、営業活動などには有利に働きます。
医療関連の大阪拠点は天満
色々と書かせて頂きましたが、JR天満駅や地下鉄扇町駅に近いエリアは、医療機器メーカーなどの大阪拠点として有利であり、和歌山などもカバーする拠点としては非常に良い場所です。
大阪拠点の開設をお考えで在れば、このエリアを候補してみてはいかがでしょうか。
和歌山拠点をクローズして大阪に集約しようと考えている企業さんも検討の価値があると思います。
南扇町ビル
この記事を書いている南扇町ビルはまさにそのエリアの中心にあります。
南扇町ビルの詳細はコチラからご覧いただくことができます。ぜひ、テナントに入って頂ければと思います。